Drummer / Drum Instructorの
K-FUNK a.k.a. 本間克範の日記です。
コメント宜しくお願いします。
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11/26~30に亘ったワタクシの広島ツアー。
そのレビューはもう完結しているとお思いの皆様。
そうはいきません。
というのも、大事なことがまだ残っているのです。
※今回ももれなく長文注意ですのでご注意を。
今回広島でお会いした皆さんは、ワタクシが音楽をする為に出向いた事から当然音楽の現場でお会いした方々です。
そういった方々との邂逅は、そういった方々からもたらされる、形のあるものとの邂逅でもあります。
技術だけに留まらず、表現方法、表現の場の選定と創造。
そしてその表現の核となる衝動。
またその衝動との向き合い方、磨き上げ具合。
それらの作品が凝縮されCDという形になっていますので、生演奏に対する意味で敢えて「モノ」と言わせて頂きました。
丹精込めて魂込めて作られた作品ですので腰を据えて聴かないと感想など書いてはイカンなと思っていましたが、聞き出すと一気に聴いてしまうものです。
まずはカルフール・サクソフォン・カルテット。
※画像中央上
※画像中央上
大判のとても凝ったデザインを持つジャケットに収められたCDはリーダー宮田麻美さんによるソリッドなアレンジでパット・メセニーの曲をしなやかに聴かせてくれます。
しかしそのしなやかさは、四声という、ジャズを表現するハーモニーとしてはかなり制約のあるスタイルをもって不足を全く感じさせず、それどころか四声以上の広がりをハーモニーの変化と共に見事に創造されています。
メセニーの音楽には、どんなにスリリングであっても、ワタクシはある種のノスタルジアやセンチメンタリズムを感じるのですが、それが美しい音色、ハーモニーと共に胸に迫る、素晴らしい作品集です。
宮田さんと共にレコーディングに参加された久保田麻里さん、前田悠貴さん、プロデューサー兼の藤井政美さん、ゲストプレイヤーの因幡由紀さん(vo)、Juan Ortis(ホアン・オルティス、pf)、山口圭一さん(Per、Drs)。
素晴らしい音楽をありがとうございました。
そして今回の邂逅を一方的に楽しみにさせて頂いた方、奥田治義さん(b)。
『孤高のベーシスト』と、紹介文には必ず冠が付けられる奥田さんの、孤高なご様子はSNSでは拝見しておりました。
是非その演奏を聴かせて頂きたいと思っていましたが、奥田さんもCDをリリースされているとの事。
勿論頂きます!
※画像左
※画像左
一言で言い表す事は愚か、一度聴いただけでは表現時の心象、その音を発するに至る瞬間の衝動、それらはまだ正直分かりません。
しかし全曲を聴き終えて感じたのは、楽音、非楽音全てをCDというメディアに込めるのが目的だったのではないかと。
それはつまり、「生きる」という営みと「演奏する」という芸術行為の垣根を取り払う(壊す?消す?)事が奥田さんの目指すところなのかなと、浅はかな思考で感じました。
カルフールの、一切の無駄を排除した構築美とは対極のようでいて、結果皆さん人生を賭して向き合われている点は全く同じなんですね。
お次は今回初共演させてもらったスペイン人ピアニスト、Juan Ortis(ホアン・オルティス)。
カルフールのCDでも客演していますが、瑞々しい感覚を持った素晴らしいジャズピアニストです。
その彼が本国スペインで2013年にリリースし、ベストジャズアルバムに選出された、なんとライブアルバム。
※画像中央下
※画像中央下
現在のトレンドともいえる、ビンテージサウンドのアコースティック楽器で変拍子やリハーモナイズを次々投入し、しかもそれがさらりと流れるように、時に杭を打つようにドンと印象付けられたり。
本当に変幻自在です。若いのに。いや若いからこそ。
トリオの演奏ですが、全員のリズム感覚の見事な一致によって、一体感と広がりが人数を全く感じさせません。
むしろこれがトリオのあるべき姿なのでしょう。うぬぬ...。
もう一枚。藤井さんがシリーズリリースされているTiesの第3弾。
※画像右
※画像右
今作は藤井さんのサックスとゆみゆみさんのピアノによるデュオ作品集。
奥田さんの作品とレコーディング場所は同じかしら?
ホールのナチュラルな残響音を活かしたアコースティックな響きがこの作品でもとても心地よく広がります。
選曲も関係していると思いますが、藤井さんの時に力強く時にメロウに歌うサックスと、重厚なサウンドも古き佳きテイストも自在に操るゆみゆみさんの演奏がとてもよくマッチしています。
お二人の関係性が見えるような、とても暖かい雰囲気のCDです。
意外だったM7と、ゆみゆみさんの面目躍如のM8が、このCDのトータルイメージを唯一無二にしていると思います。
そして番外編。もしくは本題。
新潟でニアミスしていたり、SNSではとっくに繋がっていたりで、初対面とは全く思えなかった広島のドラマー、山口圭一さん。
今回のツアーではツインドラムを実現させ、成功かどうかは別として確実に爪あとを残した我々ですが、そんなワタクシに山口氏が兄弟の契りとしてこのようなモノをプレゼントしてくれました。
しかし形が少し変わっています。
一般的なものはもっと小ぶりなT字形をしていますが、これは片方によった大き目のウィングを持っています。
これがとても握りやすく、しかもねじを回す時に人差し指一本でこの大き目ウィングをクルクルっと回せる。
作業がとても素早く効率的にこなせる訳です。
ただ残念なことにもう生産していないとの事。
彼が使っているのをワタクシはいち早く目ざとく発見していましたが、まさか国内メーカー製品とは思わず。
何しろ見たことないんです。
そんな貴重なものを頂けるなんて!
実は、チューニングキーは消耗品なんです。ネジの差込口が磨耗して割とすぐ使えなくなります。
だからこれは使用せず大事に保管しておきます。
兄弟の契りの品として。
新潟に戻った次の日からもう広島に行きたくなっているワタクシですが、今回出会った皆さん、手元にあるこれらのモノ、そして自分の脳裏と携帯の画像フォルダにある数々の断片を、いつでも繋ぎ合わせられるように書き残して、次また広島に行ける日を楽しみにしていたいと思います。
出会った皆さん、藤井さん、そしてANちくしょうに、心から感謝致します。
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